不動産評価額に対しての借入金の割合をLTV(Loan to Value)と言い、投資する物件の安全性を確認するために利用されています。ソーシャルレンディングでもLTVを算出することができ、投資前の判断基準に役立てる事ができます。
この記事では、ソーシャルレンディングにおけるLTVの見方や算出方法の紹介と、各事業者のLTVを見ていきます。投資する案件の安全性を見極めるには必須項目になりますので、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、LTV(Life Time Value)という用語もありますが、こちらは顧客生涯価値を示したマーケティング用語として使われます。今回解説するのはLTV(Loan to Value)なので、間違えないようにご注意くださいね。
目次
ソーシャルレンディングにおけるLTVの見方
一般的にLTVは、負債額を物件価格で割ることで算出します。例えば、評価額1,000万円の不動産に対して700万円の借入金だった場合、LTVは700万÷1,000万=70%になります。
ソーシャルレンディングに当てはめると、担保となる不動産が1,000万円に対して700万円の融資をした場合、LTVは70%という感じですね。
返済遅延が発生して、回収のために担保不動産を売却した場合で考えてみましょう。評価額より30%下がっていたとしても、700万円は回収できるので、デフォルト(貸し倒れ)を防げます。つまり、LTVは低ければ低いほど安全性は高いと言えます。
ちなみに、ソーシャルレンディングでは、LTVを表示している事業者は少ないです。そのため、投資家自身が不動産評価額と融資額をしっかり確認して、LTVを導き出す必要があります。
ソーシャルレンディング各事業者のLTVの目安
さて。ソーシャルレンディングにおけるLTVが理解できたところで、ソーシャルレンディング各事業者のLTVについて見ていきましょう。
今回は、ソーシャルレンディング業界で人気のある6事業者のLTV数値を見ていきます。
マネオ(maneo)のLTV
マネオ(maneo)のLTVは、案件ごとにかなり違いがあります。というのも、マネオ以外のグループ事業者が募集している案件もマネオ内で多く取り扱うため、募集案件のテーマやスキームがたくさんあるのです。
今回は、マネオが募集する案件で見ていきましょう。
参照:【不動産担保付き】1,200億円突破記念ローンファンド【第3弾】70号(案件1:C社、案件2:AN社)
上記の案件だと、貸付金額は合計16億円です。そして、担保になる不動産の評価額は約20億円と記載があります。単純計算だと、LTVは80%になりますね。
そのほかの案件を見てみると、マネオはLTV65%~80%くらいが多いですね。
SBIソーシャルレンディングのLTV
SBIソーシャルレンディングの場合も募集ファンドにより異なりますが、どれを見ても70%までの評価額が多いです。借手についてのページにも記載がありますので、確認はしやすいですね。
オーナーズブックのLTV
参照:葛飾区レジデンス用地第1号ファンド第1回|オーナーズブック
オーナーズブックの場合は、財務構造の項目でLTVを確認できます。パーセント表示もしてくれていますので、わかりやすいですね。ただし、メザニンローンなのかシニアローンなのかによって、返済の優先順位が異なります。
オーナーズブックで投資をする時は、メザニンローンとシニアローンの割合についても注意したい項目になります。
また、銀行からの融資と半々になっているケースもありますが、オーナーズブックのLTVは合計80%以内で募集されていますね。
クラウドバンクのLTV
参照:中小企業支援型ローンファンド第355号|クラウドバンク
クラウドバンクの場合は、残念ながらLTVおよび、担保の評価額というものが明記されていません。担保の評価方法についても明記されていないのは、ちょっとマイナスポイントに感じますね。
しかし、FAQページを見てみると、担保評価額が融資総額を上回るように融資していると記載がりますので、他の事業者と同じくLTVは80%程度で設定していると思われます。
LCレンディングのLTV
親会社が上場企業という事で人気のあるLCレンディングのLTVは、60~95%くらいまで幅がありますね。親会社LCホールディングスの連帯保証付き案件もありますので、安全性の高い案件は選びやすいです。
タテルファンディングのLTV
参照:タテルファンディングの概要
東証一部上場企業のタテルファンディングのLTVは、70%までと決めているようです。かなり余裕をみている数字なので、デフォルトリスクに対する慎重さがうかがえます。
ソーシャルレンディングのLTVは信用しすぎてはいけない
以上から、ソーシャルレンディングのLTVは、だいたい80%以内で募集されている事が多いです。J-REATなどは50%程度なので、数字だけ見ると随分高く感じますね。
LTVが80%だと、担保評価額が20%下がっても元本割れする事はありません。「20%も下がるとかあんまりないでしょう?」とプラスに考えたいところですが、実は全然安心できません。
なぜなら、担保の評価方法が各社違っており、明確ではないからです。ようは、そもそも担保の査定額が正しいかどうかわからないという事ですね。
事業者A「弊社の専門スタッフが見積もったところ、まぁ〇〇円くらいだろうな。」
事業者B「積算評価で査定したところ、〇〇円くらいですね。」
事業者C「うちは収益還元法で査定しています。評価額は〇〇円になります。」
事業者D「鑑定業者に頼んでタス(TAS)評価で査定しました。評価額は〇〇円です。」
事業者E「販売予定価格が〇〇円なので、評価額は〇〇円ですね。」
査定方法は積算評価、収益還元法、販売予定価格などが一般的です。ただ、これだけでなくソーシャルレンディング事業者独自の査定方法や、レンデックスのように東急リバブルの査定結果を利用している事業者など、さまざまです。
また、「積算評価と収益還元法、どっちが信頼できる評価方法なの?」と疑問に感じますよね。でも、甲乙つけられる評価方法ではないため、担保物件と評価方法を照らし合わせて、自分で判断するしかありません。
評価方法がいい加減だったり、曖昧な場合はちょっと考えた方がいいです。オーナーズブックなどの不動産投資のプロフェッショナル集団であれば、”独自査定”と書いてあっても信頼できます。
しかし、比較的新しいソーシャルレンディング事業者で、”独自査定”と記載があった場合は、「この会社って独自査定できるくらい不動産に詳しいの?」と疑う事が大切です。
まとめ
ソーシャルレンディングを始めた頃は「担保があればとりあえず安心!」という気持ちで投資してしまいがちですが、担保の価値を見極める事も意識していきたいですね。
担保の価値を簡単に把握できるのが、LTVになりますので、投資前には積極的にLTVを確認しましょう。担保が担保として機能してなければ、それは無担保と変わりませんから。
そして次は、LTVが本当に妥当な数字なのかも踏み込んで調べましょう。評価方法に難ありなら、それは偽りのLTV数値の可能性もあります。
ソーシャルレンディングで一番避けたいことは、元本割れです。資産を守るためにも、LTVをしっかりと確認して、投資案件を選びましょう。
ソシャレンの事業者選びに困ったら...
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